シリーズ【名大新潮流】Vol.1 ラストワンマイルに革命を起こし、新しい世界の創造を目指す

シリーズ【名大新潮流】Vol.1 ラストワンマイルに革命を起こし、新しい世界の創造を目指す

ラストワンマイルに革命を起こし、新しい世界の創造を目指す

株式会社オプティマインド(OPTIMIND)

オプティマインドは、名古屋大学の研究技術を活かし、「研究と実世界の乖離を埋めたい」という想いのもと、2015年に設立された『物流×人工知能』のテックベンチャー。「どの車両が、どの訪問先を、どの順に回ると最適であるか」という配送計画問題に対し、「組合せ最適化」や「機械学習」などの技術を用いたSaaS(*1)型クラウドサービスの展開やAPI(*2)連携、コンサルティング、R&Dなど、配送計画の領域を中心に事業を展開しています。

2018年6月には、日本郵便のオープンイノベーションプログラムで最優秀賞を獲得、脚光を浴び、浮上の契機を捉えた。宅配食やコンビニ、ガス会社などの幅広い業界から注目され、さらなる事業拡大に向けて躍進中です。

物流業界に革命を起こそうと奮闘する同社の松下健社長に起業の経緯、事業概要、中長期の目標などについて伺いました。

 

研究と現実との乖離を埋めたい…。
それが、起業のキッカケです。

大学一年生のときに教授の研究分野を紹介する講義で「最適化」という技術に出会って、これは社会のためになると研究室に入りました。四年生の時、ふと、この学問は本当に実社会の現場で役立つのか? という疑問が湧くのと同時に現場の実態を自分の目で、肌で感じてみようと40社ぐらいの企業を訪問して「最適化しませんか」と、提案というか、ヒアリングを重ねました。

「誰だ!お前は?」、「最適化って何だ、そんなの使えないよ!」と、結果は散々でしたね。役に立つと思って研究を重ねたのに、実際は全く逆。研究と現実との乖離を痛感しました。一番受けの悪かった物流業界の課題を最適化技術で解決しよう、変革してやろうと、意地というか、一種の使命感を感じました。また、ある会社を訪問した時、「契約するなら会社じゃないとダメだよ」と言われ、仕事もないのに、会社を立ち上げてしまいました。その時、大学院一年生でした。

「研究と現実との乖離を埋めたい」という使命感に加えて、起業へと決意させたのは、父の企業組織の一員としての苦悩が言わしめたであろう「お前は社長になれ」の言葉と日本画家として自分の腕だけで生き抜いてきた祖父、そして、ドイツ留学時に出会った40歳で絵描きを目指す人、起業の夢を語る人たちの生き様でした。

 

学生起業はすごい武器になる
学ぶ姿勢も受動的から能動的へ

起業から一年間、物流会社や製造会社を中心に私と博士課程の中国人の先輩の二人で営業しました。当然、うまくいく訳もなく利益ゼロでした。会社を設立してしまっているので、とにかく売上を得ないといけないと、最適化技術とは全く関係ないビジネスの可能性を探り生み出したのが、授業中に学生がスマホで“分からない”ボタン押すと、先生が分からない学生数を確認できるシステム。半年後に開催された「キャンパスベンチャーグランプリ」にサービス名『Re:act』で出場したら、中部で二位に。表彰式で隣にいたのが、今の副社長の斉東でした。意気投合して『Re:act』を一緒にやりましたが、結局は売れませんでした。

暗中模索の二年が経過したころ、大企業の4次下請けから1000万円位の仕事が入りましたが、思いのほかヘビーで救急車のお世話になることも。そんなころ、大手企業でソフトウェア開発をしていた現CTOの高田が加わったことで、自分たちの強みはこれだ、やはり「最適化」をやろうと決意を新たにしました。

約二年間、紆余曲折がありましたが、在学中に起業するメリットは、学ぶ姿勢が受動的から能動的になることです。自分で事業を始めると、課題や足りないリソースに気づいて能動的に学び、役に立たないと思っていた授業も「今すぐ勉強したい!」と、前向きになりますね。

 

「石の上にも三年」
軌道に乗り始めた物流の「最適化」

起業して三年目の夏、日本郵便オープンイノベーションプログラムに応募して、最優秀賞をいただけたことで、オプティマインドのミッション「世界のラストワンマイルを最適化する」の第一歩を踏み出せたと思います。

「物流の最適化を専門としている研究者が最先端の最適化技術を提供する」、「物流に特化した新たな地図の構築」、「新しい技術やサービスを常に研究し、追い求めるエネルギーと好奇心」、この3つの強みを武器に、2023年の株式上場を目指すとともに、世界へ進出したいですね。

取材を終えて

名古屋駅前のゲートタワー27階の真新しいオフィスでのインタビュー。とにかく若い松下氏だが、「それはダメ、これがイイと暗示する、もう一人の自分がいる」という。趣味はヨガと読書、酒。どれも、その時間は「無」になれるから好きなのだそう。本年中には海外進出も計画。「自分が下した判断が正しいといえる努力をし続けること」が、座右の銘になりつつあるようです。

松下 健|プロフィール

1992年生まれ、岐阜県岐阜市出身。名古屋大学情報文化学部を卒業し、名古屋大学大学院情報学研究科博士前期課程修了、博士後期課程に在籍中。専門は組合せ最適化アルゴリズム、特に物流の配送計画問題の研究。研究と実社会の乖離を埋めたいという想いから、2015年に合同会社オプティマインドを創業。オプティマインドでは、経営全般、営業、サービス設計、最適化アルゴリズム設計などを行なう。

 

社名  株式会社オプティマインド (OPTIMIND.Inc.)

設立  2015年6月

所在地 〒450-6627

愛知県名古屋市中村区名駅1丁目1番3号 JRゲートタワー27F 2702

事業内容 1) AIクラウド・プラットフォームサービス事業

2) 最適化コンサルティング・R&D事業